一定額以下は全額負担 政府検討 医療保険に免責制度
病院などでかかった医療費は原則、患者の自己負担三割となっているが、一定額以下については全額を自己負担とする「免責制度」の導入を、政府が検討していることが二十九日、分かった。免責額は数千円程度を想定しており、軽い病気の診療代は医療保険の対象外となる。低所得者には減免措置を講じる考えだが、「医療抑制につながり、症状が悪化してからの受診で結果的に医療費がかかる」などとの批判も強く、実現まで曲折が予想されそうだ。
免責制度とは、医療機関でかかった医療費のうち、定められた金額以下を患者の全額自己負担とし、それ以上の医療費については原則、自己負担三割の現行保険制度を適用する考え方。
例えば、二千円以下を免責金額として、保険対象外とした場合、医療機関で一万円の医療費がかかったとすると、現行制度では患者本人は三割にあたる三千円が自己負担となるが、免責制度が導入されると、二千円に加え、残りの八千円の三割にあたる二千四百円とあわせた四千四百円が自己負担になる計算だ。
具体的な免責金額については今後、議論が進められるが、「国民の理解を求めるためにも、最初から高額に設定するのは無理」(政府関係者)との見方は強く、減免措置など低所得世帯に対する一定の配慮もあわせて検討する。
4月30日(土)産経新聞
変わる医療保険 ユニーク商品続々 病気でも加入可能/指定年齢到達で半額
医療保険が人気を集めるなか、生命保険各社がユニークな商品を相次いで投入している。子供や中高年など年齢層を絞ったり、一定期間がたつと保険料を割り引いたりするタイプに加えて、病気の人でも加入できる保険まで登場した。一方、医療保険は商品設計などが複雑で、金融庁が統一ルールの検討を始めるなど、本格的な普及に向けてはクリアすべき課題も多そうだ。(柿内公輔)
住友生命は三月二十九日から、病気でも加入できる業界初の医療保険を発売する。がんや肝硬変は対象外だが、過去二年以内と今後三カ月以内に入院・手術の経験や予定がないことなどを条件に、現在治療中の病気がある人でも加入ができる。
住生によると、新商品の登場で保険に入れる人は一気に二倍にふくらむ見通しで、「保険の常識を根底から覆す商品」(幹部)とアピール。発表後三日間で、同社には電話回線がパンクする三千件もの問い合わせがあったという。
アメリカンファミリー生命は今年から、加入時に指定した年齢(六十歳または六十五歳)に達すると、保険料が半額になる新医療保険の取り扱いを始めた。代理店を通じた販売も好調で、「当社の医療保険の主軸商品になりそうな勢い」(広報部)としている。
三井生命は二月から、契約後三年が経過すると保険料を割り引く医療保障特約をセットできる積立保険の販売を始めた。割引率は保険金額が大きいほどアップする。
年齢層に応じた医療保険を販売しているのは第一生命だ。三−十四歳の子供、四十五歳以上、五十歳以上と三つのタイプがあり、子供向けの医療保険はすでに十三万件以上を販売している。
少子化で遺族保障型の死亡保険の市場が縮小する半面、生前給付型の保険に人気が集まっており、各社はユニークな医療保険の開発で差別化をはかりたい戦略だ。ただ、業界共通の死亡統計があり、開発が比較的容易な死亡保険に比べ、医療保険は商品設計が難しいといわれる。病気や手術の種類で保険料や保険金の支払いリスクの算定が複雑なためだ。
日本生命は、医師資格をもつ社員などで構成する「医事研究室」を近く新設する。日進月歩の医療技術の実態調査など、医療保険の開発のベースとなる研究を行う。金融庁も、医療保険など「第三分野」と呼ばれる保険について、保険金の支払いを担保する責任準備金の積み立てルールを論議する検討チームを、二月に発足させた。
銀行窓口で保険を販売する、いわゆる保険窓販でも、医療保険は銀行側の解禁要望の強い商品の一つ。医療保険の普及に向けては、無理のない商品設計や業界共通の基準など一層の環境整備が求められそうだ。
3月22日(火)産経新聞
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